塾講師の国家検定化に批判殺到 ブラックバイト対策や他にやることない?
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塾講師の国家検定が2017年にも実現しようとしています。
国家検定にする理由は、塾講師の信頼性向上だそうです。
でも、果たして国家検定にすれば、塾講師の信頼性は向上するのでしょうか?
多くの方から塾講師の国家検定化が批判されています。
その内容は、
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塾講師検定はこんな感じ
まずは塾講師の国家検定は、2008年より塾業界が独自で行っている「学習塾講師検定」を国家検定に昇格させるというもの。
「学習塾講師検定」とは、社団法人全国学習塾協会が行っている検定で以下のような特徴がある。
- 検定は1~3級に分かれる
- 集団指導のみで判定。
- 3級や2級には担当科目理解度試験がある。
- 1級は受験者の模擬授業の映像を協会公認審査員が審査して合否を判定する。
- 1級の検定を受けるには、2級に合格した者でなければならない。
- 2級と1級の検定合格証は有効期間があり、交付した日から5年。ただし所定の方法により更新可。
この検定を国家検定にする。つまり、国のお墨付きをつけて資格の“箔をつける”わけだ。
国家検定にするにあたり、
- 「集団指導」のみの検定対象を「個別指導」にも広げる
- 「教える技能をみる」という目的を明確にするために、学力試験は省く
という予定になっている。
ちなみに学習塾講師検定の合格率は、
1級
- 平成22年度 16.9%
- 平成23年度 25.0%
- 平成24年度 47.8%
- 平成25年度 45.5%
1級は、当初は16.9%と合格率が低かったのですが、その後約2人に一人ぐらいは合格する感じに。
2級
- 平成20年度 92.6%
- 平成21年度 77.8%
- 平成22年度 89.2%
- 平成23年度 86.9%
- 平成24年度 86.2%
- 平成25年度 80.8%
2級は年度によって若干のばらつきがありますが、10人中8人以上は合格するレベル。かなり合格率は高いですね。
3級
- 平成21年度 100.0%
- 平成22年度 100.0%
- 平成23年度 80.0%
- 平成24年度 100.0%
- 平成25年度 80.2%
3級は年度によっては100%合格する時もあり、その信頼性が疑問。
ちなみに個別指導に関しては、一般社団法人個別指導塾講師能力検定協会が実施する「個別指導塾講師能力検定」というものもある。
まさに資格ビジネスという感じ。
塾講師の国家検定化に批判が殺到
この塾講師の国家検定化のニュースに対して、著名人をはじめ多くの人がツイート。一部で賛成意見もあったものの、多くは国家検定化の批判。
おなじみ茂木健一郎氏は以下のようにツイート。
国家検定にすれば信頼性が向上するという価値観自体が古い。教科書検定も同じ。日本の教育観のアキレス腱は、ここにある。文明の発展についていってない。 @asahi_awa 塾講師を国家検定に 信頼性向上狙い17年にも:朝日新聞デジタル http://t.co/EILHpfI4JU
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) 2015, 8月 26
たしかに、“国のお墨付き”をありがたく思う人や風潮はまだまだ日本にはあります。でも、国家資格や検定の場合はどうなんでしょう?
権威のある一部の難関資格は、資格を取ることが即その実務に直結するというものもありますが、そんな資格や検定は少数。
ほとんどの資格や検定は、ただ履歴書に書くだけの資格。たとえ資格を取得しても実務ではほとんど役がたたないものがほとんど。
資格大国日本。おびただしい資格が蔓延する中、新たな国家資格ではなく、そろそろ役に立つ資格だけを吟味するという時代になっているでしょう。
塾講師の能力は資格ではなく、市場つまり実際に教えてもらう子供や親の厳しい目が判断するものでしょう。
塾講師の質向上のためにもブラックバイト対策を
塾講師の質に不満は多いようです。国家検定制度を創設するのもその表れの一つです。
国家検定も良いのですが、塾業界自体にかなり問題があります。
たとえばこんなニュース。
個別指導塾の塾講師のコマ給。つまり、時給ではなく、90分などの授業単位での給料制度。
実際には、授業の準備や報告書を書く時間に対する賃金が十分に支払われていない問題。
こちらの記事でも同じことを指摘しています。さらに残業代が出なかったり、休みなかったり、契約が労働基準法に著しく反するものもあります。
このような劣悪な環境では、良い人材は集まってきません。ブラックバイト対策をしっかりとし、職場環境を良くすることが塾講師の質向上にもつながるものだと思います。
親の姿勢も大事
子供の学力向上のためには、親の姿勢も大事です。塾に丸投げでは、なかなか伸びるものも伸びないでしょう。
とりわけ勉強をやる気にさせるかは、親でもできること。勉強のやる気まで塾に依存しすぎるから、子供は辛くなったり、勉強することに疑問を感じたりするのでしょう。