9月の有効求人倍率が23年ぶりの高水準へ 正社員の場合は?23年前はどんな年?
SPONSORED LINK
仕事を求めている人1人あたりに何人の求人があるかを示す有効求人倍率。9月の有効求人倍率が厚生労働省から発表されました。
9月の数字は1.24倍。つまり1人につき1個以上の求人があるわけですね。この数字は、23年8か月ぶりの高水準だそうです。
ただ一般庶民にとってこの数字はどうでしょう? こんな高い数字という実感がありますか?
近年は非正規雇用の求人が主で正社員だけの数字も気になるところです。
仕事を今探している方にとっては、そんなに高水準かな?という実感も多いと思います。現在、仕事を探していなくとも今の会社を辞めて本当に良いのか?という心配を抱く人も多いでしょう。
また23年前といえば1992年。1992年といえば記憶は定かではありませんが、雇用環境は全然違うような...。
実際にその当時はどんな年で、今と比べるとどうだったんでしょう? その実態をいろいろ調べてみました。
SPONSORED LINK
9月の有効求人倍率 正社員の場合は? 地域格差は?
厚生労働省の発表によると、9月の有効求人倍率は前の月から0.01ポイント上昇して、1.24倍でした。ちなみに都道府県別の数字ですと最も高いのが東京都で1.83倍、最も低かったのは鹿児島県の0.86倍という結果です。
確かに東京ですと1人につき2つくらいの求人があるという数字になっています。しかし鹿児島ではまだ1人につき1つの求人もなく、依然厳しい状況にあります。
このようにまだ有効求人倍率は地域差があるのが現状です。
さらに正社員の数字を見てみましょう。
厚生労働省の発表によると、正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.77倍となり、前月を0.01ポイント上回るという結果になりました。
通常の有効求人倍率と正社員有効求人倍率はまだ0.5ポイントほどの差があり、正社員の求人を探している人にとっては、依然として厳しい数字であるといえるでしょう。
ちなみに総務省が発表する9月の完全失業率は、前の月と同じ3.4%という数字でした。有効求人倍率は厚生労働省、完全失業率は総務省とややこしいですね。
23年前の1992年はどんな年だった?
今回発表された9月の有効求人倍率ですが、数字の上では1992年1月以来の高水準ということで、当時の数字と並んだわけです。
ではいったい1992年といえばどんな年だったのでしょうか?
日本はバブル経済が崩壊することで急速にその経済力が衰えていきます。バブル経済の崩壊といえば、突如として一瞬に起きたような印象がありますが、実はそうではなくあるとき一瞬にして起きた現象ではありません。
株価でいうと、1989年の大納会(12月29日)に最高値38,915円87銭をつけたわけですが、1990年10月1日には一時20,000円割れとわずか9か月間で半値近い水準になっています。
ただ株価というのは、上がるときもあれば下がるときもあり、株価が大幅に下がれば即バブル崩壊ともいえません。
実際は崩壊は1991年10月ごろから始まったといわれ、深刻な社会問題になってくる時期が1993年ごろになります。
さらに大型倒産などの本格的な実害となると、1990年代後半~2000年代前半ぐらいで、この頃をバブル崩壊と捉える人が多いと思います。
つまり1992年1月といえば、まだバブル崩壊の兆候はあったものの、まだ深刻な社会問題にもなっておらず、実害もそれほど少なかった時代です。
1992年にどんなニュースがあったかというと、
2月19日には、経済企画庁が日本経済が昨年1-3月期をピークにリセッション(景気後退)入りしたと発表しました。これによってバブル景気が終結したと公式に発表されたわけです。ただこの時はその後未曽有の不景気が訪れることは誰も予想はしていません。
3月14日には、 東海道新幹線で、「のぞみ」が運転開始され、日本経済界は大いに沸きます。
しかし日本経済は下降をたどり、10月には有効求人倍率が1.0を下回り、この後、2005年12月に1.0に回復するまで13年2ヶ月にわたりいわゆる就職氷河期となってしまいます。
いよいよ仕事があまりない冬の時代へと突入していくわけです。
振り返ってみましたが、1992年1月に2015年9月と同水準だった有効求人倍率は、わずか9カ月ほどで1.0を下回ってしまいます。
ただそれでも今みたいな深刻さはなかったような気がしますね。非正規雇用が増え、給与水準がどんどん下がっていき、職を仮に見つけたとしても生活するだけで精一杯という感じが近年ではありますからね。
今回の有効求人倍率のニュースは数字上はうれしいニュースなのでしょうが、どこか一般庶民にはその恩恵を受けてない感じがする人が多いのではないでしょうか。