羽田都心上空新ルートは日本に必要? 伊丹空港の場合と比べてみた
SPONSORED LINK
羽田空港の発着枠を増やすために、都心上空を飛行するルートが解禁されようとしています。
解禁が近づくにつれて、都心上空を飛行することに反対する記事が目立つようになってきました。
ただ、その記事を見ると、ちょっとどうなの?という痛い記事が散見。
いろいろ問題が指摘されている、羽田都心上空新ルートですが、都市型空港の伊丹空港の場合と比較してみました。
結論的には日本にとって、羽田都心上空は必要ということになりそうです。
SPONSORED LINK
羽田都心上空ルートに反対する記事を紹介
羽田都心上空ルートが解禁することになり、マスコミでは反対を掲げる論調が目立ってきています。
例えばこちらの記事。
テロを理由に、その危険性を煽っています。
9.11ニューヨーク同時多発テロがあまりにも衝撃的で、人々の記憶に残っていますからね。
日頃、「羽田は都心に近い」とよく耳にするので、テロにハイジャックされた時点で終わりのような気が^^;
都心上空を飛ぼうが、ちょっと離れた上空を飛ぼうが、少しハンドルを傾けるだけで、ビルに突入できるので、あまり違いがないような。
それなら、周囲が田畑だらけの成田は格段に安全そうです。
その他記事の気になる点をピックアップしました。
千葉県山中や地方都市、東京湾上空のみだったものが、世界有数の人口を誇る都心上空を年4万便も飛ぶことになる
航空機爆破はありふれた手法であり、実行も容易だ。実際、2015年10月に起きたロシア機のエジプト上空での爆破テロ、04年の連続ロシア機爆破事件、02年の中国機放火墜落事件、06年のロンドン旅客機同時爆破テロ未遂、09年のデルタ航空機爆破テロ未遂と、枚挙に暇がない
なるほど。
列挙されている航空機テロは、
- 02年の中国機放火墜落事件が大連
- 04年の連続ロシア機爆破事件はドモジェドヴォ空港からヴォルゴグラード国際空港への行く上空で
- 09年のデルタ航空機爆破テロ未遂はオランダのスキポール国際空港からアメリカのデトロイト国際空港への便でした。
06年のロンドンでのテロ未遂を除けば、特にどうしても世界の主要都市でテロを実行しなければならないということはなさそうです。
航空機テロのニュースなら、どこで起きようが世界を駆け巡るでしょうから、テロリストの目的は達成できるでしょう。
となると、日本でもどこで起きてもおかしくなさそうです。
逆に日本のように極度に一極集中し、手薄な地方都市の便は狙い目かもしれません。
まあ、一般人に簡単にセキュリティを突破されるような体制ですから。地方空港の警備の人員もかなり貧弱ですからね。
話しを羽田の都心新ルートに戻します。記事で気になるのは、地方都市の山中しか飛行機が飛んでいないような印象を受けます。
日頃飛行機を乗らない人なら、そう思いますね。羽田の上空以外は。
私はよく飛行機に乗りますが、大阪の伊丹空港は都心にあり、離発着のために当然人口密集地域を飛ぶことになります。
テロの絶好の標的にもなりそうですがどうなんでしょう?
伊丹空港の場合と羽田の上空ルートを続いて比較してみます。
伊丹空港の場合と比べてみた
大阪伊丹空港は、関西の主要空港の一つ。関西空港がメインの空港になりますが、多くの便が離発着します。
伊丹空港の年間発着回数はざっくりいうと14万回。着陸だけでも7万回程度と考えられるので、羽田都心上空新ルートの計画の年間4万の倍くらいは着陸だけでもあります。
続いて世界有数の人口を誇る東京とありますが、たしかに人口は多いです。どこへ行っても混んでいて正直疲れます^^;
では伊丹空港の着陸ルート比べてどうなのでしょうか?
対象となるとのは、騒音問題も出てきそうな上空の高度が1000m以内の練馬区、豊島区、中野区、新宿区、渋谷区、目黒区、大田区あたりでしょうかね。
まあ、落下物が問題なら東京都心の東部も問題でしょうが^^;
一方伊丹空港の場合は、豊中市、大阪市とりわけ淀川区、北区、中央区、都島区、城東区辺りが候補になりそうです。
ちなみにこれらの地域は、上空の高度が500m以内です。つまり大田区並の低空を飛行します。
飛行ルート上には、あべのハルカス(300m)、中之島フェスティバルタワー(199m)、ハービス大阪(189m)の他多数の超高層ビルがあります。
では人口はどうなのでしょうか?
羽田飛行ルート上のではこんな感じの人口密度。夜間よりも昼間人口が重要かもしれないので、昼間人口密度が多い所は、昼間の人口密度も書いておきます。
※各自治体の統計を参照
- 豊島区 21,881 昼間人口密度 32,513
- 中野区 20,189
- 目黒区 18,253
- 新宿区 17,899 昼間人口密度 41,147
- 大田区 11,661
一方伊丹空港の飛行ルート上の場合は、
- 大阪市城東区 19,695
- 大阪市都島区 16,964
- 大阪市淀川区 13,614
- 大阪市北区 10,687 昼間人口密度 37,048
- 大阪市中央区 8,861 昼間人口密度 52,453
- 豊中市 10,840
羽田上空ルート上と伊丹空港の着陸ルート上もそれほど人口密度は変わらないような^^;
落下物の危険性ならすでに飛行している伊丹空港上空はどうなるのかという感じもします。
騒音なら伊丹空港は、上記の人口密度の場所の上空500mぐらいの所に飛行機が飛ぶわけですから、当然よりひどそうですね。
結論は羽田上空ルートは必要でしょう
伊丹空港上空と比較して、すでに大阪市内の人口密集エリアに飛行機がバンバン飛んでいることを考えると、羽田上空ルートを特別視する理由はあまり見当たりません。
近年の訪日旅行客に対応するためには、羽田の発着枠の拡大は欠かせないでしょう。
新しく滑走路を作れという意見もあるでしょうが、リニア開通後は東京大阪間はほとんどが鉄道移動になることを考えると、過大すぎるインフラ投資でしょう。
リニア開通後は東京大阪間の発着枠が空いてきますし、莫大な費用がかかりますから。
羽田都心上空ルート反対を声高に叫ぶ記者も一番心配なのは、テロではなく案外自分の不動産の価値が下がることなのかもしれません。
それにしても国交省の来年度の概算要求で、羽田関係で613億を要求しています。前年度が498億円ですから、かなりの額を上積みしてます。
その中に、羽田空港の経路見直しに必要な施設整備も含んでいますが、ちょっと多すぎないかという気もします。
ちなみに主要空港では、成田空港が47億円、関西空港と伊丹空港をあわせて38億円ですから、比較するとその金額の多さも驚きです。
羽田の予算も精査する必要がありそうです。