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不定期刑とは何? 川崎中1殺害事件という少年の事件でなぜ適用される?

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昨年2015年2月に川崎中1殺害事件の裁判の判決が、昨日2月10日に横浜地裁で言い渡されました。

 

 

残虐な手口による殺人事件、さらに19歳の少年が犯した犯罪で日ごろから批判のある少年犯罪への刑の甘さをめぐって注目をされていました。

 

判決は、「懲役9年以上13年以下の不定期刑」。

 

検察側の求刑が求刑懲役10年以上15年以下でしたので、若干求刑よりは軽くなりました。ただこの判決には対しては多くの反対意見もあり、あらためて少年犯罪に対する量刑についての不満が続出しているようです。

 

ところで、今回の判決にあった「不定期刑」。あまり通常の犯罪に対する判決では聞き慣れない言葉ですね。今回は、この不定期刑についての詳細となぜ川崎中1殺害事件のような少年犯罪に適用されるのかについていろいろ調べてみました。

 

 

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殺人事件の一般的な刑の重さは?

 

今回の裁判のですが、ちょうど1年前の2015年2月に川崎市の河川敷で中学1年の男子生徒が殺害された事件に対してです。残虐な手口でしたので記憶にも残っている人も多いと思います。

 

その手口は首をカッターナイフで何度も切り付け、真冬に川を泳がせて、事件を隠蔽しようとした悪質な事件です。

 

今回の裁判の注目は、少年犯罪に対してどれだけの罪を問うことができるかということ。少年の犯罪に対しては刑が軽すぎるという意見を持った人が多いですからね。

中には「なぜ死刑ではない?」という声もありましたが、検察の求刑が有期刑なので極刑の判決は現実にはあり得ませんでした。

 

殺人罪の刑の重さ(量刑)は、刑法199条に定められています。規定では「死刑又は無期もしくは5年以上の懲役」と定められ、刑の重さについてもかなりの幅があります。

 

川崎中1殺害事件では、さらに傷害罪についても問われています。今回の殺人罪と傷害罪を合わせた犯罪は、刑の重さには幅があるものの死刑も一応ありえるという定めにはなっています。あくまでも条文上ですが。

 

 

なぜ死刑が少ないのか?被害者側の権利がないがしろという意見

 

多くの殺人事件が発生しているにも関わらず、その多くに死刑の判決が下されません。これでは犯罪の抑止力にはならないのでは?という意見もあります。

 

また日本の刑事裁判は、なぜこれほど被告つまり加害者側に有利なことが多いのかと不満の意見が数多くあります。たとえば黙秘とかもそうですし、今回の少年犯罪に対する司法の擁護もそうですね。

 

そもそもなぜ犯罪者に刑をかすかというと、

 

  • 犯行への報い
  • 刑罰の重さの威嚇で広く犯罪発生を予防
  • 犯罪者に刑をかすことによって再び犯罪を犯すことを防止

 

というのが目的です。犯行への報いは被害者の心情を察して、復讐的なものと感じるかもしれませんが、厳密には違います。

 

これじゃ被害者の救済になっていない!という怒りの声が多そうですが、結局のところ刑事裁判は、被害者側が加害者側にする裁判ではなく、国家(国家を代表する検察側)が被害者側にする裁判だからということです。

 

検察側は犯罪をみて、「この犯罪に対してはこれぐらいの報いは必要でしょう」、「この犯罪に対してはこれぐらいの刑なら犯罪発生を予防できるでしょう」、「この犯罪者ならこれぐらいの刑なら将来更生も可能でしょう」ということを考え量刑を決め、裁判で「求刑」として示します。

 

裁判所はこの求刑にして、さらに刑が妥当かどうかを判断し判決を下すわけです。なぜ死刑が少ないかというと、それは検察や裁判所(特に裁判所がですが)、犯罪者に刑をかす目的を達していると判断したからといえるでしょう。

 

今回の事件でいうと、検察側も死刑を求刑していませんし、判決も死刑ではありません。その理由は加害者が少年ということもあり、再び犯罪を犯すことを防止して、少年の今後の更生に重きを置いたからともいえます。

 

不定期刑とは? なぜ少年事件に適用される?

 

不定期刑とは、「刑期の最短・最長を定めて刑を宣告するもの」を言います。判決の時点で刑期をまったく定めないという意味での不定期刑もありますが、今回問題になっているのとはちょっと違います。

 

今回の事件の判決のように、「懲役9年以上13年以下」というように刑期の最短と最長を定めている量刑です。

 

ではなぜこのような不定期刑が認められていて、今回の少年事件で適用されるのでしょうか?

 

 

実は日本では、不定期刑は成人には認められていません。この理由は加害者の保護という意味が大きいのですが、未成年つまり少年犯罪には認められています。

 

なぜ不定期刑が認められるかというと、少年は若い。若いといろいろ未熟なので未熟ゆえの犯罪を犯した側面もある。

 

未熟な少年を刑務所で教育し更生をしていって、更生して改善がなされた時点で刑期は終了にしてもよいのではないかという考えに基づいています。その期間がだいたいた最短でこれぐらい、最長でこれぐらいと検察や裁判所が判断した。その判断を尊重して少年犯罪には不定期刑が認められているわけです。

 

少年犯罪は、「加害者を擁護」ともとられがちですが、いろんな背景があって決められているわけです。被害者の心情からするとなかなか納得しにくい所がありますが、難しい問題です。